犬猫の体温測定方法比較

ペットの健康管理において体温測定は非常に重要です。犬や猫が体調を崩した際、体温の異常が病気のサインであることも少なくありません。犬猫の体温を測定する方法はいくつかあります。本記事では、それぞれの方法について特徴や利点、注意点などを比較してみます。

犬猫の体温測定の重要性

犬や猫の健康を守るためには、定期的に体温を測定し、平熱を把握しておくことが大切です。犬の平熱は約38〜39℃、猫は約38〜39.5℃と人間より高めですが、個体差があるため、普段の体温を知っておくことで異常に気づきやすくなります。発熱や低体温は体調不良のサインとなるため、普段と異なる体温が続く場合は、早めに動物病院を受診しましょう。日頃から測定に慣れさせることで、スムーズに健康管理ができます。

体温測定方法の比較

犬猫の体温測定にはいくつかの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。愛犬・愛猫に合った方法を選ぶことで、負担を減らしながら体温測定ができます。
以下の表に方法ごとに特徴を比較してまとめてありますので、愛犬・愛猫、そして飼い主様にとっても良い方法を検討してみてください。

方法直腸で計測耳で計測首から推定
ツール直腸体温計赤外線体温計PetVoice
商品例Ci 動物用デジタル体温計 MT-G19犬の耳温計 ペット赤外線温度計 ペット専用 犬の体温を1秒で測定PetVoice
精度
動物病院でも行われる方法

直腸の温度より約1℃低い

37.5~39.5度の間では平均誤差±0.2度で計測が可能
コスト
動物用体温計の購入が必要だが、低価格(2500円程度)

赤外線体温計を持っていれば人間用でも代用可能。購入する場合は3000円〜1万円程度

月額980円で利用可能
計測時間
準備・計測に少し時間がかかる

計測時間は2〜3秒程度

首に装着しておくだけのため、計測の必要なし
ペットへの負担
苦手な犬猫も多い

耳周りを触られるのが苦手な場合は少し負担になる

首輪を嫌がらなければ負担なし
※首輪装着デバイスは5g程度で軽量
人の負担
ペットが動かないように支える必要がある。2人以上での実施が望ましい。
定期的な実施は負担が大きい。

1人で行えるが、定期的な実施は少し負担。

特に計測のための行動は必要なし。

直腸からの計測は高精度で信頼性が高く、特に病気の疑いがある場合にはおすすめです。しかし、直腸からの測定をストレスに感じてしまう犬猫の多くいることや、人間の負担も大きい測定方法のため、日々の実施が難しい場合もあるでしょう。

耳からの計測はストレスを抑えられるため、日常的な健康チェックを気軽に行いたい場合におすすめの方法です。一方で、正確さはあまり高いとは言えないため、健康に不安がある場合には別の方法を検討する必要があるでしょう。

首からの測定は、ペットにとっても人にとっても最も負担が少ない方法と言えるでしょう。サブスクリプションのため継続的に費用は発生しますが、日常的な健康管理を手間なく行いたい場合におすすめです。

ペットの性格や健康状態、飼い主のスキルに応じて、どの方法を選ぶかを決めると良いでしょう。いずれの場合も、ペットの安全と快適さを最優先に考え、適切な手順で測定することが重要です。

体温測定方法

それぞれの方法について解説します。

直腸からの体温測定

直腸温はペットの体温を正確に測定できる方法として、獣医師や飼い主に広く利用されています。

体温測定方法

【用意するもの】
動物用体温計、体温計カバー(ない場合は食品用ラップで代用可)、オリーブオイル

【手順】
1. 付属のカバーや食品用ラップで体温計の先端を覆いましょう。衛生的に使用することができます。
2. カバーをかけた体温計の先にオリーブオイルを少量つけます。これをすることで、挿入の際の滑りが良くなり、違和感を軽減することができます。
3. 犬猫が立っている状態、もしくは伏せている状態でしっぽの根本を優しく握り、ゆっくりと持ち上げます。
4. 少し肛門が開いたら、そっと3〜5cm(メモ※投稿前に削除します:2〜3cmと記載しているサイトが多かったのですが、日本小動物医療センターの表記に合わせています)ほど差し込みます。測定終了までその体勢を維持してください。
5. 測定が終わったら、優しく体温計を引き抜いてください。

【体温測定のコツ】
・測定中に座ってしまう場合には、腕をお腹の下に入れて支えてあげましょう。体温を測る人と、体を固定・支える人の2人で行うことが理想です。
・直腸からの体温測定が苦手な犬猫もいます。おやつをあげながら行うなど、できるだけストレスにならないように注意しましょう。

メリット
 ・正確性が高い: 最も信頼できる方法として、診断に役立つデータを得られます。
 ・コストが低い: 市販の動物用体温計を使用できるため、専用機器の購入が不要です。
デメリット
 ・ペットが嫌がる場合があるため、落ち着かせる工夫が必要です。
 ・挿入時に適切な潤滑剤を使用しないと、ペットが不快感を覚える可能性があります。
 ・使い捨てカバーを使用しない場合は使用後の体温計の消毒が必須であるなど、手間がかかります。

ツールの紹介

耳からの体温測定

耳の中に専用の赤外線体温計を挿入して体温を測定する方法です。

体温測定方法

【用意するもの】
赤外線体温計

【手順】
体温を測定するセンサー部分を、耳の中に入れるように軽く当てます。

メリット
 ・迅速性: 数秒で測定が完了します。
 ・ストレスが少ない: 直腸温に比べてペットが嫌がりにくいです。
デメリット
 ・耳の中が汚れている場合、測定値が正確でない可能性があります。
 ・赤外線体温計は高価で、購入コストがかかります。
 ・直腸からの測定に比べて約1℃低い体温になるため、正確性が低いと言えます。

ツールの紹介

耳から体温を測定できる体温計です。こちらはペット用のものですが、人間用のものでも使用可能です。1〜2秒という短時間で測定が終わるのが一番の特徴で、直腸からの体温測定がストレスになってしまう場合におすすめです。

PetVoiceでの体温測定

PetVoiceは首輪を装着することで推定直腸温を含む15項目の健康データを測定できるペット用の健康管理デバイスです。提携動物病院とデータを共有することにより、獣医師のサポートで愛犬・愛猫の健康状態をチェックすることができます。

体温測定方法

【用意するもの】
PetVoiceCORE・BELT・HOME

【手順】
愛犬・愛猫にPetVoice CORE・BELTを装着し、PetVoice HOMEをお部屋に設置します。

メリット
 ・ストレスが少ない: 首輪を装着するだけのため、ペットが嫌がりにくいです。人にとっても負担が少ない方法です。
 ・正確性:体温が37.5~39.5度の間では平均誤差±0.2度で計測が可能で精度が高いと言えます。
 ・自動記録が可能:体温の変化がグラフで確認できます。

 ・異常の検知:異常があった際には通知でお知らせしてくれます。

デメリット
 ・サブスクリプションのため、月額費用がかかります。

ツールの紹介

毎日決まった時間に計測することが難しい場合や、体温測定がペットにとってストレスになってしまう場合におすすめです。PetVoiceでは、体温だけでなく安静時呼吸数・心拍数も首輪の装着だけで計測することができます。

まとめ

体温測定は、ペットの健康状態を把握し、病気の早期発見に役立ちます。特に異常な体温が確認された場合は、速やかに獣医師に相談することが大切です。適切な対応を行うことで、ペットの健康を守り、快適な生活をサポートしましょう。

  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。