犬の膿皮症とは?お家でできるケア編
膿皮症は遭遇しやすい犬の皮膚病の一つです。今回はお家でできるケアについて解説します。
膿皮症の原因
膿皮症は皮膚で生息する細菌が増殖することで様々な症状が起こる病気です。
原因となる細菌はブドウ球菌と呼ばれ、犬の皮膚や私たち人間の皮膚にもある程度は生息しています。
健康な皮膚では菌が異常に増えることはありません。しかし、アトピー性皮膚炎など別の皮膚トラブルがある場合や、免疫が低下して皮膚のバリア機能が失われてしまうと、一気に菌が増殖しやすくなってしまいます。
また、犬の皮膚は人に比べて細菌が増殖しやすいと言われています。特に梅雨時から夏場にかけて湿度が上昇してくると、細菌が増殖しやすくなるため膿皮症になりやすくなります。
膿皮症に効果的なデイリーケア
高温多湿によって細菌は増殖しやすくなります。
空調設備を利用して、犬にとって快適な温度や湿度を保つようにしてください。
また皮脂や汚れは細菌の大好物です。皮脂や汚れをシャンプーで洗い落とし、清潔に保つことで、ある程度の予防や症状の進行を食い止めることが期待できます。
シャンプーの仕方
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- 体を濡らす
シャワーヘッドを犬の体に押し付けながらお湯を全身にかけていきます。こうすると犬がシャワーの音に驚かないので、犬へのストレスが軽減できます。また温度は35〜36℃のぬるま湯にすると犬の体にやさしいです。
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- シャンプーする
体を濡らし終わったらシャンプーをしていきます。
この時絶対にしてはいけないことは、犬の体でシャンプーを泡立てることです。
犬の皮膚は人に比べて弱いため、擦りすぎてしまうと皮膚を傷つける原因になってしまいます。必ず洗面器などでしっかり泡立ててから、泡を使ってシャンプーをしてあげるようにしてください。
シャンプーをするときは、指の腹を使ってマッサージをするように行います。
また、犬は皮膚同様、目も傷つきやすいため、シャンプーが目に入ると角膜潰瘍などの病気になりやすいです。できるだけ顔にシャンプーがついた状態の時間を短くするために、頭は最後に洗い、最初にすすぐ事を意識してください。
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- 泡をすすぐ
頭から順にシャンプーをすすいでいきます。この時、体を濡らす時と同様にシャワーヘッドを体に押し付けながら体をすすいでいきます。背中からすすぐだけになりがちですが、しっかりお腹や脇の下、鼠径部、足先もすすぎ忘れないようにしましょう。
お腹や脇の下、鼠径部、足先は膿皮症の症状が出やすい部分でもあります。シャンプーが残ってしまうと膿皮症を悪化させる原因になってしまいます。
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- しっかり乾かす
ドライヤーで水気が無くなるまで乾かします。
ドライヤーの前に毛をしっかり絞り、丁寧にタオルドライを行ってあげるとドライヤーの時間を短縮でき、犬への負担も少なくなります。
また、温風が熱すぎないように体から離して当てましょう。
しっかり乾燥させた後は必要に応じて保湿剤を塗ってあげましょう。
シャンプーをして皮膚を清潔に保つことは大切ですが、実は健康な犬にとって洗いすぎも良くありません。皮膚が乾燥しやすくなってしまい、皮膚バリア機能が弱くなってしまいます。また、細菌のバランスも崩してしまう恐れもあるため、健康な犬ならシャンプーは月に1〜2回行うのが適切です。
しかし、シーズーなど皮膚が脂っぽくなりやすい犬種や、既に膿皮症になっている犬は高頻度にシャンプーを行った方が良い場合もあります。シャンプーの頻度については、獣医師に相談してみましょう。
食事について
皮膚は体の中でも代謝量が大きく、栄養不足による不調をおこしやすいです。皮膚の調子が悪くなると、皮膚のバリア機能も落ちてしまい一気に細菌が増殖しやすくなります。そのため、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
特に皮膚に必要な栄養素についてもいくつか紹介します。
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- タンパク質
犬の毛の95%は蛋白質であると言われています。タンパク質は毛髪と皮膚の成長に欠かせません。犬の1日に必要なタンパク質の25~30%は皮膚や毛髪に使用されると言われています。良質な動物性タンパク質を毎日摂らせるようにしましょう。
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- 脂質
脂質が足りないと、犬の皮膚はかえって脂っこくなる・毛並みが悪くなる・皮膚炎が悪化するなど、皮膚病になりやすくなってしまいます。特に、これらは必須脂肪酸の一つであるリノール酸が不足すると起こります。
リノール酸はオメガ6脂肪酸です。これは植物由来の油に含まれると言われています。
オメガ6脂肪酸は摂りすぎると良くないともいわれていますが、魚等に含まれるオメガ3脂肪酸とバランスよく摂ることが大事だとされています。
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- ビタミン・ミネラル
主に皮膚の代謝に関わっています。亜鉛やビタミンA,Bなどです。
市販のフードは、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれるように計算されています。そのため、何か特別な原因がない限り、手作り食ではなく市販のフードを与えることが好ましいです。
しかし、タンパク質を補いたい、良質な脂質を与えたいと考える飼い主さんもいるのではないでしょうか? その場合は、
- 市販のフードにトッピングとして与える
- サプリメントを検討する
などの方法で栄養素をプラスすると良いでしょう。
しかしこの場合でも、食事の与えすぎにならないように、体重をこまめに測ったり、定期的に血液検査を行ったりすることで、全身の状態を確認しながら行うことが必要です。
食事を工夫する場合は必ず獣医師に相談しながら行うようにしましょう。
まとめ
膿皮症は犬に多い皮膚病の一つです。日頃から皮膚をケアしてあげることで予防や病態の改善につながる事が多いです。しかし必要なケアは犬によって異なります。
本記事では膿皮症の予防または治療のためのデイリーケアについて紹介しました。
しかし、使うべきシャンプーの種類(抗菌シャンプーなのか、乾性シャンプーなのか)やその頻度、食事などは犬によって異なります。いろいろなデイリーケアを試す前に、獣医師に相談することでその子にあったケアを行うようにしてください。