犬の便に血が混じっているときに気をつけること
突然犬が血便をしたら驚いてしまう飼い主さんも多いと思います。便の異常は病気を教えてくれるサインかも知れません。どのように対処すればよいか一緒に見ていきましょう。
血便の血はどこから出ている?
血便の原因は大腸にあります。大腸から出血した血液が便に混じることで血便として認められます。血液は時間が経つと赤色から黒っぽい色に変色するため、便が赤いほど肛門から近い場所で出血しているという証拠になります。また、血液と一緒にゼリー状の粘液便が認められることもあります。
血便になる原因
血便の原因として具体的にはどのような事が考えられるのでしょうか。
原因となりやすいのは下記の7つです。
- ストレス
- 食事
- 寄生虫
- 犬パルボウイルス感染症
- 細菌性感染症
- 腫瘍性疾患
- 血液凝固異常
ストレス
犬は環境の変化によるストレスなどによって血便をおこすことがあります。嘔吐や下痢などといった血便以外の症状が認められず、食欲や元気がいつも通りであればそこまで心配しなくても良い場合が多いです。環境の変化によって体調を崩しやすい犬は環境をできるだけ頻繁に変えないようにしましょう。
食事
食べ物に対するアレルギーがあると、軽度の血便や粘液が混じった便が認められる場合があります。
また、食事の急な変更や繊維が多すぎる食事によってお腹の調子を崩してしまうことがあります。
寄生虫
胃腸に寄生虫が大量に寄生すると胃腸炎によって血便が出ることがあります。
特に、大腸に寄生する鞭毛虫類であるジアルジアや、犬条虫、犬鉤虫などが原因となります。
犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルス2型感染症ともいわれ、出血性腸炎と嘔吐が主な症状です。
消化管の粘膜細胞に感染・破壊するため、出血だけでなく細菌の二次感染を引き起こし重篤化します。免疫が未成熟な子犬での発生が多いです。補液などの支持療法によって多くの場合回復しますが、処置が遅れると命の危険もある恐ろしい病気です。
細菌性感染症
サルモネラやカンピロバクター、クロストリジウムなど、本来環境中や、正常な腸に生息している細菌が原因となって、腸に炎症や、ときに出血を伴うような粘液便、発熱などが引き起こされる場合があります。
細菌による感染症は主にまだ免疫が未熟な子犬に起きる場合が多いので、外に遊びに行った後や体調を崩しているときは注意が必要です。
腫瘍性疾患
炎症性ポリープやリンパ腫によって出血を伴う下痢が起こることがあります。
血液凝固異常
何らかの原因で出血を止める仕組みが破綻してしまったとき、消化管からの出血が止まらなくなります。出血を止める成分が体の外に漏れ出してしまったり、上手く産生されなくなったり、消費されてしまうことで足りなくなってしまうと起こります。具体的には蛋白漏出性腸症・腎症、肝不全、播種性血管内凝固症候群などが原因となります。
犬が血便をした時の対処法
まず血便以外に異常がないか確認しましょう。嘔吐・下痢・発熱などの症状がなく、食欲があり、元気な場合は半日から1日ほど絶食して胃腸を休ませつつ様子を見ましょう。
すぐに収まらない場合や出血が多い場合は動物病院を受診し原因の精査が必要になります。感染症が原因の場合、便に原因となる寄生虫やウイルス、細菌などが見つかる場合があります。
また、便の状態からある程度原因を推測できる場合もあるため、便は捨てずに受診の際に持っていきましょう。
便を見ただけではわからないこと
血便の原因は多岐にわたります。感染症が原因である場合もあれば、肝臓や血液に問題がある場合もあります。これらは便を見ただけではわからず、便の中にいる原因となる菌やウイルス、寄生虫を見つけるための便検査や、血液検査、エコーなどの画像診断が必要になります。
少しでも様子がおかしいと思ったら、便を持ってすぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。
まとめ
血便は、その原因によって重症度や対処法が異なります。日頃から便の状態をよく観察して、血便が続く場合は油断せず動物病院を受診するようにしてください。
point
- 血便の原因は大腸からの出血
- 原因は多岐にわたる
- 動物病院でないとわからない原因が多いので長引くようならすぐに動物病院へ