犬がご飯を食べないときに出来る工夫とは
犬がご飯を食べてくれないと、飼い主さんは不安ですよね。犬がご飯を食べてくれないときはどのような工夫ができるのでしょうか。
犬ご飯を食べてくれない理由
犬がご飯を食べてくれなくなったときは以下の原因が考えられます。
- 病気
- ストレス
- 老化
- そのほかの理由
病気が原因の場合
犬がご飯を食べないとき、一番に疑いたくなるのは病気ですよね。場合によっては緊急性の高い病気の場合もあるため、犬の異変に早く気づくことが病気の早期発見・対応に繋がります。
特に子犬や老犬、闘病中の犬など、体力のない犬が全く食べないときは注意が必要です。
以下の症状が出ていたら特に気をつけましょう。
水を飲まない
水も食べ物もまったく受け付けない状態は、病気の可能性が高く、また非常に緊急性の高い状態です。病気によって胃腸が動いていなかったり、気持ち悪くなっていたりすることが考えられます。また、重度の歯周病や口腔内の異常でも何も口にしないことがあります。
嘔吐をする
ご飯を食べていないのに嘔吐をしている場合は、注意が必要です。吐いた物が胃液か胆汁かなどを判断するのは難しいので、嘔吐物を実際にスマホで撮影しておくことをお勧めします。後で動物病院を受診した際に獣医師に説明しやすく、診断の助けになることがあります。
下痢をしている
下痢をしている場合も嘔吐と同様に、便の色や状態をチェックし、写真を撮ったり状態をメモするなど記録をつけておくと良いでしょう。可能であれば便を動物病院に持参すると、獣医師も糞便の状態を確認できたり、糞便検査を行えたりするので、病気を見つける参考になるかもしれません。
元気がない、ぐったりしている
いつもは元気な犬が、食べない、呼んでも来ない、家具や部屋の隅に隠れる、元気がなくボーッとしている状態のときは、何らかの病気や熱があったり、体の痛みを感じていたりすることがあります。
特に心臓病や腎臓病治療を行っているとき、血液検査でBUNという数値が高くなりやすくなります。
これは体から出た老廃物で、この数値が高くなると犬は気持ち悪さを感じるため、ご飯を食べなくなったり、元気がなくなったりします。
ストレスが原因で食べない場合
犬はストレスを感じているとご飯を食べなくなることがあります。ストレスによる食欲不振は、そのストレスに飼い主さんができるだけ早く気が付いてあげることが大切です。
犬はどんなことにストレスを感じるのでしょうか?
食欲不振が見られたら、最近の出来事や犬の様子を一度振り返ってみると良いでしょう。
犬は以下に紹介するような状況でストレスを感じることがあります。
環境の変化があった
家族や同居犬が増えた、引っ越ししたなど、人と同様に生活環境の変化に犬はとても敏感です。ストレスを感じることで体調を崩してしまう犬がいます。
コミュニケーション不足
留守番が多い、散歩や触れ合い、遊んでもらう時間が少ない、といった飼い主さんとのコミュニケーション不足から寂しさを感じると、犬はストレスを抱えてしまいます。
また、このような寂しさから飼い主の気を引こうとご飯を残したり、食べムラが出ることもあります。
新しい刺激があった
旅行や帰省、ちょっとした遠出など、普段とは違う知らない場所に出かけたり、初めて知らない犬と会ったりなど、いつもと違う新しい刺激をストレスに感じる犬もいます。
車や電車に乗り慣れていないと、移動によってストレスを感じてしまう犬もいるので、慣れないうちは犬を連れた長距離の移動は避けた方がいいでしょう。
また動物病院などに行くことも、慣れていない犬にとってはストレスです。少しずつ動物病院に慣れてもらうために子犬の頃から動物病院へ検診へ行く、パピークラスなどに通っておくと万が一の時に安心です。
飼い主と離れた
ペットホテルの預かりサービスや動物病院での入院、ペットサロンの利用などで、飼い主さんと離れることや、狭いケージに入れられることに強いストレスを感じる犬もいます。
また同居犬がいる場合はその同居犬の片方が入院や、検診などで家から長時間いなくなるとストレスを感じて体調を崩してしまう犬もいます。
「老化」が理由で食べない場合
シニア犬と暮らしていている場合、ご飯を食べなくなってしまったらとても心配ですよね。
高齢期になると人と同様に犬も筋力や消化機能が低下し、徐々に食べられる食事の量が減っていきます。
ただし、病気が理由のこともあるので、日ごろから注意して観察をしましょう。
特に食事制限をしていないのに1ヶ月で5%以上の体重減少がみられている場合、何らかの病気が潜んでいるかもしれません、動物病院を受診するようにしてください。
老化によってご飯を食べなくなる特徴についてみていきます。
筋力や代謝、消化機能の低下
老化によって筋力が衰えると、散歩で歩ける距離や家の中で動き回る距離も短くなります。
それに伴って必要となる運動量や1日のカロリー摂取量も少なくなり、代謝や消化機能は低下してくるため、高齢犬のご飯を食べる量が少なくなっていくのはごく自然なことです。
必要な脂質の量も減ってくるので成犬用の脂質が多いフードを食べていると太ってしまったり、膵炎になる可能性があります。
また、筋力の衰えにより、食べる姿勢を維持することがつらいため、ご飯を今まで通りに食べなくなることもあります。
味覚・嗅覚の衰え
味覚や嗅覚が衰えて感覚が鈍くなることで、食べ物への興味や食欲がなくなって今まで食べていたものを食べなくなることがあります。
歯や歯茎の衰え
年齢を重ねると歯周病や口内炎などの口腔内トラブルから、硬いものを食べなくなる犬もいます。
そのほかの理由でご飯を食べてくれないとき
犬の様子はいつもとあまり変わらないのにご飯を食べてくれない時は以下の理由が考えられます。
好き嫌い
ペットフードは食べないがおやつや手作りのものを与えると食べる場合は、特定の食べ物が嫌になっている、または犬にとってあまり好きじゃないフードなのかもしれません。
また、療法食やシニア用フードなどに変更中にあまり食べなくなることもあります。
甘えている
「ご飯を食べなければ、もっとおいしいものが出てくる」と学習している犬は、わざと食事を食べなかったり、残したりすることがあります。ほかにも飼い主さんの手からでないと食べない犬もいます。
繊細な犬やグルメな犬
犬の中には、ご飯を何でも食べる犬もいれば、少しでもいつもと違うものが入っていたり、食事を変更したりすることで食べなくなる犬もいます。手作り食や人の食べ物などいつもおいしいご飯に慣れている犬は、ドッグフードを嫌がることがあります。
犬がご飯を食べてくれないときに出来る対処法
食べなくなる原因は様々です。
原因ごとの対処法を紹介します。
病気で原因で食べなくなっている時
元気があって、うんちやおしっこなどは問題なくできているが、食べ方にムラがある、または少し残したくらいなら数日は様子を見ても問題ないでしょう。
しかし全く食べ物を受け付けない、食欲が落ちている日が続くようならできるだけ早く動物病院に相談しましょう。
犬が食べたがらないのに、無理やり食べさせたり、長期間様子を見たりするのはあまりよくありません。誤飲や誤嚥の原因になってしまったり、治療が手遅れとなってしまうくらいに病気が一気に進行し、命に関わる場合もあります。犬がご飯を食べなくなり、病気が疑われる場合は、自己判断をせずに獣医師に相談することが大切です。
ストレスが原因の場合の対処法
ストレスでご飯を食べない場合は、まずは原因を見つけて、ストレスを解消させてあげましょう。
さらに、できるだけ留守番の時間を短くする、一緒に遊んであげる時間や散歩の時間を増やすなど、愛犬とのコミュニケーションを多くとるように心がけてください。食べないからといって、叱ったり無理に食べさせようとするのは、犬がさらにストレスを感じてしまうのでNGです。
「老化」によって食べなくなっているときの対処法
老化によって食べなくなっている場合にすぐできることとしては、
フードをふやかしてみたり、電子レンジで温めてみたりするといいでしょう。
犬は老化に伴い噛む力が弱くなったり、嗅覚が弱くなってきます。フードをふやかすことで噛みやすくなり、ふやかしたドライフードやウェットフードを電子レンジで温めると香りが立つため、食欲が増すことがあります。
ドッグフードをふやかす際は30〜40℃程度のお湯をフードが浸る程度そそぎ、15分程度冷ましましょう。また電子レンジで温める場合はふやかしたドライフードやウエットフードを500wで10秒程度ずつ、湯気が出ない程度温めるのがコツです。湯気が出るほど温めると犬にとっては舌を火傷する程熱いため、気をつけましょう。
またシニア犬用のフードに変更するのも手です。シニア犬用フードは成犬用に比べて脂質が少なく、お腹に優しいです。また粒が柔らかく、香りが強いことも特徴です。
獣医師に相談の上これらのフードに変更することも有効かもしれません。
その他の原因で食べないときの対処法
元気はあるのにご飯を食べない場合は、無理に食べさせずに、最初はそのまま食器を置いて無視しておき、1時間以上など一定時間食べなかったら食器を片付けるようにしましょう。
甘えていることから食べムラが起きている場合、構ったり、好物をあげたりするのは逆効果です。
おやつを喜んで食べて、ご飯を食べない場合は、おやつを与えるのをやめてみてください。
ご飯を変更するときに気をつけることは?
シニア犬用のフードに変更したり、好みのフードを探すために色々なフードを試す場合は現在のフードが療法食でないかどうか確認しましょう。病気の治療や進行を抑えるために食べているフードは病気ごとに栄養やカロリーなど正確に計算されて作られているため、変更すると病気が悪化する可能性があります。
まとめ
犬がご飯を食べなくなる原因は、体調不良の他に老化による味覚や嚥下機能・消化器機能の低下、代謝に関わる臓器の働きが悪くなっていることなどが考えられます。体重や筋肉量の減少が目立ってきたら、食べてもらう工夫をする必要があります。フードを変更する際やトッピング等を考える際は事前に獣医師に相談するようにしましょう。