
猫のリンパ腫の治療方法と副作用
猫のリンパ腫は、猫に多く見られる悪性腫瘍の一つで、特に高齢の猫や猫白血病ウイルス(FeLV)に感染している猫に発生しやすいとされています。リンパ腫は早期発見と適切な治療によって、愛猫の生活の質(QOL)を向上させることが可能です。本記事では、猫のリンパ腫に対する主な治療法として化学療法(抗がん剤治療)を中心に、他の治療法についても解説し、副作用と管理について詳しく説明します。
リンパ腫の主な治療方法

化学療法(抗がん剤治療)
猫のリンパ腫に対して最も一般的な治療法は化学療法です。
化学療法のメリット
・高い寛解率(特に低グレードのリンパ腫では長期間の生存が可能)
・治療によって寿命を延ばせる可能性がある
化学療法の副作用
・嘔吐や下痢
・免疫力の低下(感染症のリスク)
・体温上昇(発熱)
・食欲低下
・脱毛(まれに見られる)
・骨髄抑制(白血球や赤血球の減少)
・倦怠感や活動量の低下

放射線治療
局所的な腫瘍の縮小や症状の緩和を目的に放射線治療が用いられることもあります。特に、消化器型リンパ腫や鼻腔内リンパ腫の場合に有効とされています。
放射線治療のメリット
・腫瘍の縮小が期待できる
・局所的な痛みや炎症の軽減
放射線治療の副作用
・皮膚の炎症や脱毛
・近くの健康な組織への影響

外科手術
リンパ腫は全身性の疾患であるため、外科手術単体での根治は困難ですが、腸管リンパ腫など局所的な腫瘍の場合には手術が適用されることもあります。
外科手術のメリット
・腫瘍の完全切除が可能な場合がある
・他の治療と組み合わせることで治療効果を高めることができる
外科手術の副作用
・手術後の痛みや感染リスク
・麻酔による影響

緩和ケア(対症療法)
病気の進行を遅らせるのではなく、愛猫が快適に過ごせるようにすることを目的とした治療法です。症状を和らげることを優先し、痛みを軽減する薬や栄養管理が行われます。
緩和ケアの方法
・ステロイド剤(炎症抑制)
・鎮痛剤(痛みの管理)
・栄養管理と生活環境の調整
緩和ケアのメリット
・副作用が少なく、猫のQOLを保ちやすい
・痛みや不快感を軽減できる
ここまで、猫のリンパ腫の治療法・メリット・副作用等をお伝えしてきました。ここからは最も一般的な治療法である抗がん剤治療の副作用と日々のケア方法についてより詳しくお伝えしていきます。
抗がん剤治療の副作用
抗がん剤治療には副作用が伴います。中でも注意すべき副作用の一つが 体温上昇(発熱) です。体温が高くなると、食欲不振や元気消失などの症状が現れることがあります。
抗がん剤治療の主な副作用の例
・嘔吐や下痢
・免疫力の低下(感染症のリスク)
・体温上昇(発熱)
副作用管理と日々のケア

副作用を管理し、愛猫のQOLを保つためには、日々の体温チェックが重要です。健康な猫の平熱は 38.0〜39.2℃ 程度ですが、抗がん剤治療中はこれを超えることがあります。
飼い主さんができること
・毎日体温を測る(耳または肛門で測定)
・体温が39.5℃以上になった場合はすぐに獣医師に相談する
・バランスの取れた食事と十分な水分補給
・ストレスを避ける環境作り
体温測定の方法については下記記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ
猫のリンパ腫に対する治療では、抗がん剤治療が適用されるケースが多く、他にも放射線治療、外科手術、緩和ケアなどの選択肢があります。抗がん剤の副作用の一つとして 体温上昇 に注意が必要であり、日々の体温チェックを欠かさず行うことが大切です。適切な治療とケアを続けることで、愛猫が快適に過ごせるようサポートしてあげましょう。