猫の脱毛の原因は?
猫の抜け毛が増える原因としてどのような病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを解説します。
猫の脱毛とは
脱毛とは本来毛があるべきところの皮膚で、毛が部分的あるいは完全に、薄くなったりなくなることをいいます。
脱毛は大きく分けると、
- 皮膚に異常が起きて脱毛する
- 皮膚に異常はなく内分泌などの全身の疾患によって脱毛する
- ストレスによって過剰に舐めることで脱毛する
この3つのいずれかが考えられます。
猫は左右対称に脱毛することが多いです。また痒みに対して掻く場合と舐める場合があります。掻いているときは皮膚も傷つくため炎症が起こり、赤みが出たりジュクジュクしたりするため見た目にもわかりやすいのですが、舐めている場合は皮膚に異常が起こらないことも多いため気づきにくい場合が多いです。
猫の舌は非常にザラザラしているため、舐めているときは毛が折れることで少なくなって抜けているように見えます。
猫の脱毛の原因
脱毛の原因として、皮膚の異常によって毛が抜け落ちてしまう場合、皮膚の異常によるかゆみや、心理的な原因のために咬んだり舐めたりして毛が抜ける(切れる)場合、皮膚に異常がないがなぜか脱毛してしまう場合に分けられます。
一般に皮膚病があればその部分の毛がなくなることが多いので、皮膚の異常はすぐに分かります。その場合は皮膚病の診断を進めます。
皮膚に異常がある場合に考えられる病気
皮膚に異常がある場合は、次の病気が考えられます。
- 外部寄生虫(ノミ、ダニ、疥癬など)
- 真菌性皮膚炎(マラセチア、皮膚糸状菌)
- 猫アトピー性皮膚炎
- 外傷
- 腫瘍
- 免疫介在性疾患
これらの病気の場合、症状として皮膚に痒みや赤みがあります。また、かさぶたができる・フケが出る・掻きむしったところから二次的な感染が起こりジュクジュクするなどの症状が見られます。
猫アトピー性皮膚炎の場合はまだわかっていないことが多く、症状がわかりにくいこともあります。多くは、かゆみによって腹部や両手足、体幹部などを過剰に舐めてしまい、左右対称に脱毛しています。顔や首周りにブツブツを伴うかさぶたができたり、皮膚が赤く分厚くなったりもします。
また、皮膚の症状だけでなく咳や鼻炎などの呼吸器症状や結膜炎、下痢を起こしていることもあります。
皮膚に異常がない場合
皮膚に赤みやかさぶたなどがない場合は以下の原因が考えられます。
- 心因性脱毛(ストレス)
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
猫ではストレスがかかると一気に毛が抜けることがあります(心因性脱毛と呼ばれます)。例えば動物病院で検査のために横向きに保定された時、なにか怖い思いをした時など、猫によっては毛が抜けてしまうことがあります。
また、気に入らないことがあると自分でしきりに手や体を舐めたり、毛を抜いてしまったりすることがあります。この場合、左右対称に脱毛することもあれば、一部分だけを強く舐めることで皮膚に傷や炎症を起こすこともあります。
毛を舐めることで切っている場合には、顕微鏡で毛先をみるとぷっつり切れています。またエリザベスカラーをつけて舐められないようにして、それ以上脱毛しなくなれば、自分でなめているのが原因でしょう。
また心因性脱毛以外にも内分泌・代謝性疾患が原因となっていることがあり、
糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症等が挙げられます。
副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症は猫において非常に稀な病気ですが、糖尿病は比較的猫によく認められます。
猫の脱毛の対処法
猫の脱毛に気づいたら痒みやなんらかのストレスを抱えている場合があるため、早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。連れて行く前には痒がっている様子をよく観察したり、可能であれば撮影して動物病院で説明できるようにしておくとよいでしょう。
外部寄生虫や真菌の中には人に感染する場合もあるので患部を触るときは気をつけましょう。
また、最近猫にストレスがかかるような出来事(騒音や引っ越し、食事の変化など)がなかったかも確認しておきましょう。
脱毛が内分泌・代謝性疾患で起こっている場合は脱毛の他に一日のおしっこの回数や量、水を飲む量、元気、食欲などにも変化が認められることがあります。
痒がっている様子以外にも普段から猫の行動を観察しておくようにしましょう。
猫の脱毛の予防
猫の脱毛を防ぐためにはどのようなことができるのでしょうか。
外部寄生虫の予防をしっかりする
ノミやダニなどの寄生虫が脱毛の原因となる場合が非常に多いです。人が外出をすることで寄生虫を運んでしまうケースもあるので、完全な室内飼育であったとしても予防をしておきましょう。
皮膚を清潔に保つ
ブラッシング
被毛の生え変わる季節にブラッシングは特に重要です。毛艶をよくするだけでなく、普段から猫の毛並みをチェックする機会になるため、早期に脱毛に気づくことができます。日常的なコミュニケーションの一つとしてブラッシングを行いましょう。猫によっては長時間じっとしていたり、ブラッシングそのものが苦手な場合も多いです。そのような猫にはいきなり体全体を一気にやろうとするのではなく、まずは膝に乗せるだけ、膝に乗せてから手で毛を撫でる、短い時間で部分的にブラッシングするなど少しずつ段階的に慣れてもらうようにしましょう。
日頃からブラシを猫のリラックスエリアにおいておくことも、ブラッシングへのステップとなります。
まとめ
猫の脱毛の主な原因は、感染症、寄生虫、アレルギーやアトピー、過剰なグルーミングです。中には、ほかの猫や人にうつるものもあります。脱毛に気付いたら、様子を見ないで早めに動物病院を受診しましょう。また、病院を受診するときには、いつから、どの場所がどのように毛が抜けてきたのかを説明できるとなおよいです。