犬のリンパ腫の治療方法と副作用

リンパ腫は、犬に多く見られる悪性腫瘍の一つです。早期発見と適切な治療によって、愛犬の生活の質(QOL)を向上させることが可能です。本記事では、犬のリンパ腫に対する主な治療法として化学療法(抗がん剤治療)を中心に治療法について解説し、副作用と体調管理について詳しく説明します。

リンパ腫の主な治療方法

化学療法(抗がん剤治療)

犬のリンパ腫に対して最も一般的な治療法は化学療法(抗がん剤治療)です。

化学療法のメリット
・高い寛解率(70〜90%の犬が一時的に症状が改善)
・治療によって寿命を延ばせる可能性がある

化学療法の副作用例
・嘔吐や下痢
・免疫力の低下(感染症のリスク)
・体温上昇(発熱)

放射線治療

局所的な腫瘍の縮小や症状の緩和を目的に放射線治療が用いられることもあります。特に、化学療法と併用することで治療効果が向上する場合があります。

放射線治療のメリット
・腫瘍の縮小が期待できる
・局所的な痛みや炎症を軽減できる

放射線治療の副作用
・皮膚の炎症や脱毛
・近くの健康な組織への影響

外科手術

リンパ腫は全身性の疾患であるため、外科手術単体での根治は困難ですが、特定の部位に局所的に発生した腫瘍の場合には手術が適用されることもあります。

外科手術のメリット
・腫瘍の完全切除が可能な場合がある
・他の治療と組み合わせることで治療効果を高める

外科手術の副作用
・手術後の痛みや感染リスク
・麻酔による影響

緩和ケア(対症療法)

病気の進行を遅らせるのではなく、愛犬が快適に過ごせるようにすることを目的とした治療法です。症状を和らげることを優先し、痛みを軽減する薬や栄養管理が行われます。副作用は少なくすみますが、病気の進行を止めることはできないため、生存期間が短くなる可能性があります。

緩和ケアの方法
・ステロイド剤(炎症抑制)
・鎮痛剤(痛みの管理)
・栄養管理と生活環境の調整

緩和ケアのメリット
・副作用が少なく、犬のQOLを保ちやすい
・痛みや不快感を軽減できる

ここまで、犬のリンパ腫の治療法・メリット・副作用等をお伝えしてきました。ここからは最も一般的な治療法である抗がん剤治療の副作用と日々のケア方法についてより詳しくお伝えしていきます。

抗がん剤治療の副作用

抗がん剤治療には副作用が伴います。中でも注意すべき副作用の一つが 体温上昇(発熱) です。体温が高くなると、食欲不振や元気消失などの症状が現れることがあります。

抗がん剤治療の副作用の例(再掲)
・嘔吐や下痢
・免疫力の低下(感染症のリスク)
・体温上昇(発熱)

体温上昇は骨髄抑制(白血球の減少)による感染症や敗血症が原因で引き起こされ、抗がん剤治療開始3〜5日後に現れることが多いです。このため、白血球が最も減少するタイミング(投与後3〜7日)に注意が必要です。

副作用管理と日々のケア

副作用を管理し、愛犬のQOLを保つためには、日々の体温チェックが重要です。健康な犬の平熱は 37.5〜39.2℃ 程度ですが、抗がん剤治療中はこれを超えることがあります。

飼い主さんができること
・毎日体温を測る(耳または肛門で測定)
・体温が39.5℃以上になった場合はすぐに獣医師に相談する
・バランスの取れた食事と十分な水分補給
・ストレスを避ける環境作り

体温測定の方法については下記記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

まとめ

犬のリンパ腫に対する治療では、抗がん剤治療が適用されるケースが多く、他にも放射線治療、外科手術、緩和ケアなどの選択肢があります。抗がん剤の副作用の一つとして 体温上昇 に注意が必要であり、日々の体温チェックを欠かさず行うことが大切です。適切な治療とケアを続けることで、愛犬が快適に過ごせるようサポートしてあげましょう。

  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。