猫の不整脈について

最近猫の元気がない、失神することが増えたと感じたらそれは不整脈が原因かもしれません。どのような原因で不整脈が起こるのでしょうか、原因や治療法について解説します。

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猫の不整脈の原因

心臓の動きは、心臓自体が発している電気刺激によって制御されています。この電気刺激は健康な動物であれば常に同じ場所から同じリズムで発生し、心筋の中にある決められた電気の通り道(刺激伝導系)に流れることで心臓は動いています。動物の不整脈はおよそ数十種類に分類され、電気刺激の発生源や通り道の中のどこに障害が起きたかによって、それに応じた不整脈が発生します。
心拍数が速くなりすぎる不整脈と遅くなりすぎる不整脈があり、重症度や治療が必要かどうかもその不整脈によります。

不整脈は様々な原因によって起きます。代表的なものは以下の通りです。

  • 心臓病
  • ホルモン異常(甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など)
  • 高血圧症
  • 電解質異常(高カリウム血症など)
  • 腫瘍

猫の場合は特に代表的な心臓病である肥大型心筋症、ホルモン異常である甲状腺機能亢進症、高血圧症などが原因である場合が多いです。

症状

軽度の不整脈では症状が出ないことも多いです。そのため、飼い主さんも気づかないまま過ごしていることは少なくなく、健康診断で他の病気と一緒に見つかることもよくあります。
治療が必要なほど重度である場合は運動したがらなくなったり、場合によっては失神(急に後ろに仰け反るようにして倒れる。意識を失う時間は数秒から数分)したり、胸水貯留などの心不全を発症する場合もあります。

飼い主さんにとっては、失神はけいれん発作などとの見分けがなかなか難しいかもしれません。可能であれば、獣医師に見せるために失神と疑われる様子を動画で撮影しておくといいでしょう。

また、猫では心拍数が遅くなる不整脈は発作的に起こる場合が多く、飼い主さんが気づかないうちに突然死してしまうケースも少なくありません。

検査・診断

不整脈が疑われる場合は、まず聴診や心電図検査によって不整脈の存在を確認します。しかし、猫によって不整脈が起こる原因は様々であり、病院内での心電図検査では発作的に起こる不整脈を見つけられない場合もあります。
リラックスしているときに発作が起こることもあるため、不整脈が強く疑われる場合は、24時間での心電図を記録できる「ホルター心電図」を装着して、お家での心臓の状態を観察することがあります。

また、不整脈には上記に挙げた病気が潜んでいる可能性があるため、血液検査や血圧測定、レントゲン検査、心臓超音波検査などを行い不整脈の原因を探します。

治療

心拍数が遅くなる不整脈では、失神をしている、または極端に元気がなくなっている猫に関しては、ペースメーカーという心臓の代わりに電気信号を送り出して心臓を動かしてくれる機械を体の中に埋め込む外科的治療が一番効果的と言われています。
内科療法の場合は心臓の中で電気刺激がスムーズに流れやすくなる薬(シロスタゾールと呼ばれています)を投与することになります。

心拍数が速くなる不整脈の場合は、薬による内科治療で不整脈を抑える治療を行います。

また、どちらの不整脈でも原因となる病気がある場合は平行してその病気の治療を行うことになります。

猫の不整脈はわかっていないことも多いです

猫の不整脈は犬に比べてわかっていないことが多く、特に治療法やその適応について、本記事の内容が必ずしもすべての猫に当てはまらない場合があります。

まとめ

猫の不整脈の原因や症状は様々です。治療が不要なものもあれば、すぐに治療を行わないと命に関わるものもあります。動きたがらなくなったり、失神などの症状が現れたらすぐに動物病院を受診しましょう。

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  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。