犬がゼリー状の下痢をした! 症状から見る原因と対処法

犬が下痢をすることはそこまで珍しいことではなく、一過性であることがほとんどです。しかし、その頻度や便の様子によっては体の異常事態を知らせるサインになります。今回はゼリー状の便について見ていきます。

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ゼリー状の便は大腸が原因の粘液便

ゼリー状の便は粘液便と呼ばれ、大腸に異常がある場合に起こる下痢の特徴です。
実は粘液自体は便が正常に排出されるための潤滑剤として必要なものです。便は粘液でコーティングされた状態で消化管内を移動します。健康であれば粘液は大腸で吸収された後、便が排出されます。しかし大腸の粘膜が傷つくことで、その傷を保護しようと大腸で吸収できないほど粘液が過剰に分泌されていたり、吸収が上手くできなくなっていると粘液便が排出されます。

ゼリー状便の原因

ほとんどが消化不良やストレスによる一過性のものです。突然食べ慣れていないフードやおやつに変更したり、冷たいものや消化に悪いものを食べさせたり、旅行や引っ越し、突然の来客など、ストレスから起こることが多いです。ただ、稀に病気によって粘液便が起こる場合もあります。

ゼリー状便が出る病気

細菌性大腸炎

サルモネラやカンピロバクター、クロストリジウムなど、空気中や、正常な腸に生息している細菌が原因となって、腸に炎症や、ときに出血を伴うような粘液便、発熱などが引き起こされる場合があります。
細菌による感染症は主にまだ免疫が未熟な子犬に起きる場合が多いので、外に遊びにいった後や体調を崩しているときは注意が必要です。

寄生虫性大腸炎

ジアルジアなどの寄生虫が大腸に寄生すると腸管が炎症を起こし、粘液便や血便が認められる場合があります。糞便検査などによって原因寄生虫が分かれば駆虫薬によって治療することができます。

アレルギー

消化管を通過した食物に対するアレルギー反応として大腸が炎症を起こす場合もあります。
消化器症状以外にも皮膚のトラブルも起こっている場合があるため、顔周りや足先、背中、耳を掻いていないかどうかも確認してみましょう。

腫瘍性疾患

炎症性のポリープやリンパ腫が大腸内にできると、粘液を伴う下痢や出血が起こる場合があります。

治療法

基本的には対症療法を行いつつ原因疾患があればそれを特定し治療を行っていくことになります。
具体的には絶食によって腸を休めたり、皮下点滴などの補液を行う、整腸剤の投与などです。
具体的な原因疾患がみつかった場合は以下のように治療します。

細菌性感染症

細菌による感染が疑われた場合、上記の対症療法によって様子を見つつ、症状が改善しない場合、感染菌を調べてその菌によく効く抗菌薬を慎重に投与することが一般的です。

寄生虫疾患

糞便検査を行うことが一般的です。糞便検査によって寄生虫の存在が確認されれば駆虫薬を投与していくことになります。そのため犬のうんちは極力捨てず、動物病院に持参するようにしてください

アレルギー性疾患

食物アレルギーが疑われる場合は、アレルギーの原因を探るために除去食試験と食物負荷試験を行ってアレルギーの原因物質を特定し、アレルギーが出ない食事に変更することで改善することがほとんどです。

腫瘍性疾患

腫瘍が原因の場合は外科手術、または抗がん剤による内科療法によって治療を行います。

お家でできる対処法

基本的には胃腸を休ませることが対処法になります。
半日から1日程絶食させることで胃腸を休ませましょう。症状が改善するようであれば食事を通常の半量にしたり、ふやかしたりしたものを様子を見ながら与えてみてください。絶食は長期間に渡ると腸粘膜の再生を妨げてしまうため逆効果になります。自己判断での2日以上の絶食は避けてください。
また、子犬は絶食によって低血糖状態に陥りやすく命の危険があります。そのため、子犬に対しては自己判断での絶食は避け、動物病院を受診してください。

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様子見が悪化を招くことも

便がゼリー状である以外に、便に血が混じっていたり、発熱・下痢・嘔吐が認められたり、元気・食欲が無いなど、明らかな異常が認められる場合は動物病院への受診を検討してください。
これらが当てはまる場合は治療が必要な大腸炎かもしれません。いつまでたっても治らない、どんどん弱ってきた…ということになりかねないため、早めに動物病院を受診しましょう。
また幼齢犬の場合も症状が重篤化しやすいため注意が必要です。

まとめ

犬の粘液便は大腸が原因であることがほとんどです。一過性のものであれば安静にすることでほとんどの場合良くなりますが、繰り返したり、長引いたりする場合は動物病院への受診を検討してください。

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point

  • 犬のゼリー状の便は大腸が原因の粘液便
  • 基本的には一過性、胃腸を休ませましょう
  • 長引く場合やゼリー状の便以外の症状がある、特に幼齢犬の場合はすぐに動物病院へ
  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。